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SET LIST

01.plastic form
02.新曲
03.Drive
04.RASPBERRY DANCE
05.laugh
06.FAKE STARS
07.bule
08.great escape
09.rag
10.rosemary
11.vista
12.wall
13.Lounge
14.太陽
15.LULLABY


the blondie plastic wagon 「“thisisplasticfrom”TOUR FINAL THIS IS PLASTIC FORM」
2003.12.4(THU) 下北沢CLUB Queにて。



 ステージを塗りつぶす深い赤色の光・・・。その光が消え、今夜の主役、the blondie plastic wagonが、暗がりのステージに颯爽と登場してくる。心地良く会場流れていたジョン・コルトレーンの『My Favorite Things』(JR“そうだ!京都へ行こう”のCMでも有名な曲)がゆっくりと私たちの耳から遠ざかっていくと「こんばんは!the blondie plastic wagonです。よろしく!!」という篠原信夫(Vo・G)の第一声。そのまま、「plastic form!!」と今夜1曲目のタイトルが紹介され、the blondie plastic wagonの世界が広がっていく。「この曲が俺たち3人の形なのよ!!」という篠原の揺るぎない真っ直ぐな言葉に、会場を埋めるたくさんのオーディエンスたちの心をグッと惹きつける。the blondie plastic wagonが求める音の形、そして、“the blondie plastic wagon”そのものがこの曲に集約されているといっても過言ではない。ものすごいエネルギーと衝撃が波のように体と心に押し寄せ、興奮を掻き立てていく。彼らの音は、真っ青な深海に身を投じるような、そんな幻想的かつダウナー世界。それは、まさに“圧巻”の一言につきる。


 「サンキュー!そして、最新の曲!!」と言う言葉と共に、激しい照明の閃光が3人のメンバー、篠原、仲俣寛之(B)、山田洋一(Dr)とオーディエンスを包み、メンバーそれぞれの楽器が生み出す重くハードな音で新曲が披露されていく。ギターの弦をこれでもかというくらいに弾きなぐり、マイクににかじりつくように歌い叫ぶ篠原、それに触発され体を本能のおもむくままに揺らしていく、仲俣、山田、そして、オーディエンスたち。
 次の曲「Drive」は、とても静かでおぼろげな、霧に包まれるようなステージの演出から始まった。「今日は、ようこそ!俺達と一緒にドライヴに行こうぜ!!」という篠原の声に、歓喜する会場。仲俣の攻撃的な歪みと力一杯振り下ろされる山田の打ち込み、篠原のギターの爆音がオーディエンスの気持ちを急速に高ぶらせていく。眩いくらいの白い光が私たちの前にパーッと広がり、彼らの作り出す世界は、その先の何か私たちが想像の付かない未知なる空間へと導いていくようだ。

 曲が終わるたびにオーディエンスたちに向かって「サンキュー!!」という言葉を送る篠原。そのまま次の曲「RASPBERRY DANCE」へと流れていくライヴは、私たちの脳内の伝達細胞に直接コンタクトしてくる。篠原のギターのヘッドを銃口に見立て、オーディエンスに突きつけ挑発していく姿は、人間誰もが内に秘める狂気な一面を剥き出しにしているかのようだ。ハイスピードなサウンドは小刻みなバイヴレイションを会場に作り出し、オーディエンスとオーディエンスの摩擦から熱気を帯びていくライヴ空間。そして、私たちの視覚には、照明の赤い光と藍色の光がパレットの上で絵の具が滲むように交錯していく様子と、その中で汗を振り切ってライヴを繰り広げる彼らの感情の荒ぶる光景がもの凄い情報量となって押し寄せてくる。

 曲が終わると「イェェェェェイ!!」という歓声を彼らに送るオーディエンス。「今日は、俺たちのワンマンライヴへようこそ!!最後まで楽しんで行ってください。」という短く挨拶を終えると、ステージを透き通るような真っ青な光が覆い、ミディアムテンポな「laugh」が流れ始める。オーディエンスは、放たれていく音を全身で受け止め、そこに詰まっているメッセージを感じとっていく。会場に溢れ出るもの、それは音楽である前に彼らの精神世界そのものなのだ。身を削りながら作品を紡ぎ出す、そのある種命がけの行程が、今夜のようなライヴを誕生させる。曲が盛り上がっていくにつれて会場全てを照らし出す光が、壮大で力ある曲を彩っていく。
 「FAKE STARS」では、今まで激しく唸っていた篠原のギターが、静かに物悲しく鳴き出した。ステージの中央で感情移入する篠原だけに、真っ赤なスポットライトが当てられ、その光景をジッと無言で見守るオーディエンスたち。心の一部がそのまま歌として存在しているような気がした。
 次の曲では、心地良いくらいに爽快な出だしから、突如スピードを上げ本編が走り出すといった流れを組む「bule」。海の青、空の青、風の青・・・、日常様々なものに“青”というものは、存在し私たちの生活に違和感なく溶け込んでいる。この曲で彼らが歌う“青(bule)”は、彼の中の心の動きを表している。決してキャッチーな歌とは言えないが、彼らの詞は興味深く、一筋縄ではいかないもの感じるのだ。間奏では、テンションを抑えきれなくなった篠原がマイクに向かって大きくシャウト!

 しばしのチューニングタイム。「本日はツアーファイナルということで集まってくれた人、ありがとう!!」という感謝の言葉が会場のオーディエンスに送られる。MCが終わると直ぐに「〜アルバムから1曲!!」という勢いのある篠原の掛け声から次の曲「great escape」が紹介される。来年、2004年1月22日にリリースされるファーストアルバム「GIFT」の6曲目に収録されている曲。タイトルからも分かるように“GIFT”、まさに彼らからのかけがえのない作品(贈り物)。間を空けずに短いMCを挟み次の曲がスタートしていく。爽快なスピードで、惜しみなく披露される「rosemary」、「vista」と言った曲を次々に披露し、今夜のワンマンライヴは山場へと向う。

 「wall」、the blondie plastic wagonの3人で最初に作った曲がこの作品。これが彼らの出発点であり、彼らの明日(みらい)を導く、希望に満ちた1曲だ。オーディエンスたちは、その歌を浴びながら自らの明日(みらい)と希望にこの曲を照らし合わせていく。彼らの存在は、まさにオーディエンスにとって希望への道標なのかもしれない。
 曲が終わると盛大な拍手が送られる。ステージの上では何やらアクシデントが起こっているようだ。篠原のギターの調子が良くないようで、少し長めのチューニングタイム。仲俣と山田によるインストで間を繋いでいく。篠原が再びステージに戻ってくるとそのままマイクに向かい次の曲「太陽」歌い始める。優しいスローバラードは、そのタイトル通り温かく会場のオーディエンスたちを包み込んでいく。「僕たちの集まる丘の上は 風が吹いているー♪太陽はー♪」というフレーズからは、前の曲からも感じることが出来た“希望の光”みたいなもの感じること出来た。
 「今日は、本当にありがとう。夏から全国ツアーをまわって、本当に色々な人にあって本当に良い1年だった。本当、歌は、伝えるためにやろうと思いました!!最後の「LULLABY」!!」と言うと今夜のワンマンライヴ最後の曲がスタートする。今夜はワンマンライヴファイナルということで、緊張していたのか(笑)、MCがガチガチだったヴォーカル・篠原。最後の決め台詞も詰まってしまう。でもそこはライヴパフォーマンスのほうで、しっかりとカバーしていた彼らthe blondie plastic wagon。3人の形を示した「plastic form」に始まり、ラストの「LULLABY」で、今回のツアーを締めくくる。

 アンコールでは、「Lounge」、アンコール2回目は「月面」を披露。大歓声と拍手の中、ステージを後にするのだった。彼らは、まさに月のような静寂さと太陽のような激しさを持ち合わせたアーティストである。それは、来年にリリースが控えているファーストアルバム「GIFT」にも見事に表現されている。
“GIFT”・・・彼らのファーストアルバムには大きな2つの意味があるように感じる。1つは、今まで彼らを支えてきた全ての人へ送る大切な贈り物という意味での“GIFT”。そして、もう一つは彼らに与えられた素晴らしい才能という意味での“GIFT”だ。この2つの“GIFT”が来年、たくさんの人の元へ届くことを祈りながら、今夜のワンマンライヴルポを終わりにしようと思う。

Live Report:榎本岳史



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