音楽情報サイト:HOT EXPRESSthere is music by side ホットエキスプレス・ミュージックマガジン
音楽情報サイト:HOT EXPRESSニュースインタビューライブレポート
レビューチャートメールマガジンスペシャルページ
SEARCH
アーティスト検索



SET LIST

01.picture
02.新曲1
03.rosemary
04.rag
05.blue
06.新曲2
07.plastic form
08.LULLABY


2003.5.14(WED) 下北沢CLUB Queにて。


 「昨日は、僕の大切な人の命日でした・・・この曲をやろうかなと思いました。」 

 ラストの曲が終わると「ありがとう!バイバイ。」と言って、ステージを去っていくメンバー。ステージチェンジがはじまり、オーディエンスの話し声があちこちで聞こえてきた。たった今終わったのは、the blondie plastic wagonのライヴ。その余韻に包まれる今夜の会場は、下北沢CLUB Que。彼らが生み出すサウンドは、自らの感情を削り、音とし、聴く者の魂に揺さぶりをかけてくる。時間が流れていくと共に徐々に高揚していくオーディエンスとメンバーの呼吸を感じることが出来た。冒頭の言葉は、ヴォーカルの篠原信夫が今夜のライヴの中で、口にした数少ないMCの1つだ。結果的に今夜のライヴは、この言葉に全ての想いが集約されていたような気がしてならない。誰かを永遠に想い続けるという気持ちと、人間であるが故に時間と共に薄れゆく記憶の狭間で揺れる切なさや悲しみ。そういった言葉では伝えきれない想いを“歌”という手段で自らの中より解き放ち、オーディエンス1人1人の心の中に何かを残してくれた。

 赤い光の中から真っ白な閃光が生まれ、その赤い光を中和していく。耳にスーッと流れ込んでくる音は、ジョン・コルトレーンのJRの“そうだ!京都へ行こう”のCMで有名な曲「My Favorite Things」。会場にレトロで切ない雰囲気が漂い始める。その曲をバックに颯爽とステージに出てきたメンバー、篠原信夫(Vo・G)、仲俣寛之(B)、山田洋一(Dr)のチューニングが終わると、篠原が「こんばんは、the blondie plastic wagonと申します。よろしく!」とあいさつ。そのまま、1曲目の「picture」が流れ出す。紫色の照明の中、オーディエンスを見据える篠原。曲が進んで行くにつれて熱くなっていく感情と会場の臨場感は凄まじいものがある。



 狭いライヴハウスならではの独特な空気感と熱気はオーディエンスを盛り上げ、上へ上へ舞い上がっていくような曲を後押しするのだ。2曲目に入ると、1曲目とは対照的な曲が会場の空気を一変させ、暗く鬱蒼とした深い森に体を埋めるように感情が作品に浸透していく。時折差し込む淡い光がメンバーの3人を照らし、とても物悲しく、幻想的な雰囲気を作り出す。間を空けることなく次の曲「rosemary」が始まり、狭いステージの中央にドラム、その直ぐ手前にはギターとベースが陣取り、完璧なバンドサウンドを響かせていく。「こんばんは、改めましてthe blondie plastic wagonと言います。」本日2回目のMC。それだけ言うと、再びライヴの流れに戻り、「ラグ」と言う曲へライヴは進む。転調が早いジャズの要素を存分に生かした英詞のロックサウンドがオーディエンスの心を揺さぶり、体にその振動を伝達。この歌は危機迫る感じがたまらなく良い!ベースの仲俣は顔を天井に向け曲に歪みを乗せていく。テンションとライヴの盛り上がりの波線がシンクロするとメンバーは頭を振り乱し、流れのままにステージを動き回る。切なさと儚さを乗せたthe blondie plastic wagonは、更にその疾走感と激しさを強め想いをぶつけていく。オーディエンスはいつの間にかライヴ会場を埋め尽くし、ステージ際にいる人たちは、体をライヴに委ねる。歌い叫ぶ篠原の姿は、繊細な風貌とは裏腹にとても力強く、その2つの面が魅力となり、オーディエンスを更にライヴの極みへと誘い込む。曲が終わるたびに深海のように深い蒼碧(あお)に染まる会場に、オーディエンスたちは無心で身を投じていく。
  
 「昨日は、僕の大切な人の命日でした・・・この曲をやろうかなと思いました。」 

 会場をスーッと流れていくようなこの言葉にオーディエンスもスーッと心を落ち着かせ、このスローバラードな1曲を聞き入る。曲が進むに連れて感情が溢れ出ていく篠原はステージにひざまずき、ギターのヘッドに近い所を感情の高ぶるままに弾き殴っていく。その圧巻の光景に会場の盛り上がりは促され、“感動”を創り出す。そして、ラストの「LULLABY」へとライヴは流れていく。8つの優しい光が彼らを包み、曲が始まった。日常の“偶然”を問い、“完全”なモノに夢を見る・・・そして、“不完全”な現実を受け止めていく歌詞の中の主人公。大切な人を想う気持ち、温もりが淡く白い光と共に会場に広がり、一体感を生む。the blondie plastic wagonの想いを共有する会場のオーディエンスたち。最後はとても眩い輝きに目の前が一瞬真っ白になり、盛大かつ温かい拍手の中、「ありがとう!バイバイ。」という言葉で、彼らのライヴは幕を閉じた。

 今夜の彼らのライヴでは、“光と影”、“生と死”、“完全と不完全”と言ったように、この世の全てには対になるモノが存在し、両者のバランスによってありとあらゆるモノが成り立っているのだということを考えさせてくれた。彼らの作り出す音は、その対になるモノの狭間を漂い、聴く者の欠けてしまった部分を埋め、バランスを保ってくれているではないだろうか。そして、彼ら、the blondie plastic wagonのメンバー自身もライヴという空間を使い、想いを解き放つことで足りない何かを埋め、バランスをとっているのだろう。

Live Report:Takeshi Enomoto

the blondie plastic wagonの作品を購入されたい方はこちらまで